「犬歯=八重歯」と勘違いされる方も多いですが、実はこの二つの意味は全く違います。
犬歯はお口の中の歯の一種であり、八重歯は歯並び不正(悪い歯並び)の一つです。犬歯が目立つ歯並びの場合、八重歯になっている可能性があります。
今回のコラムでは、具体的に犬歯と八重歯はどう違うのか、犬歯が目立っている場合に歯列矯正で治療可能かどうか、他に治療方法はあるのかなど、犬歯の目立ちが気になっている方に向けて気になる情報をお届けします!
犬歯と八重歯の違いは?
犬歯は前から数えて3番目の歯で、上下4本あります。
歯の形はひし形に近く、別名「糸切り歯」とも呼ばれています。永久歯の中でも一番歯の根が長く太くてしっかりしています。そのため、寿命が長く、噛み合わせにとって非常に重要な役割を持っています。
八重歯は歯並び不正の一つです。歯が前面に飛び出し、歯並びから外れている状態を指します。
八重歯になる原因のほとんどが犬歯であることが多いので混同されやすいです。
犬歯は乳歯から永久歯に生え変わるとき、最後にはえてくることが多いです。そのため、犬歯の生えるスペースが足りないとはみ出て生えてくるため、八重歯となってしまいやすいのです。八重歯はとがっている犬歯が前に出て目立つこともあり、コンプレックスに感じてしまうことも。
歯が並ぶスペースが足りなくなるのは、アゴの骨が小さい、歯が大きいといったことが原因になります。
関連記事:八重歯を歯列矯正するとどう変わる?自力で治せる?マウスピース矯正でも治せる?
目立つ犬歯を何とかしたい!治療方法は?
犬歯が目立つ原因には以下のようなケースが考えられます。
- 八重歯で目立っている場合
- 犬歯の前後の歯が小さくて目立っている場合
- 必要以上にとがって目立っている場合
犬歯が目立っていると見た目で気になってしまうこともありますよね。犬歯が引っかかって唇や口の中を傷つけてしまう可能性もあるので、ぜひ治療をしておきたいところ。
ここでは目立つ犬歯の治療方法について、5つご紹介します。
- 歯列矯正
- 歯を削って研磨する
- 詰め物・ダイレクトボンディング
- ラミネートべニア
- セラミックなどのかぶせ物
①歯列矯正
犬歯が目立っている原因は八重歯というケースはよく見られます。八重歯で犬歯が目立っている場合は歯列矯正がオススメ。前面にはみ出ていた犬歯が一列にキレイに並ぶので、口元が綺麗に整うでしょう。
また、歯が正しい位置に戻るので噛み合わせも改善し、顔の歪み、姿勢や頭痛、肩こりの改善に繋がります。噛む効率も良くなるので消化の助けにもなり、全身の健康増進にも役立つこと間違いなしです。
歯列矯正の方法はワイヤー矯正とマウスピース矯正の2種類。
ワイヤー矯正は歯にブラケットと呼ばれる金具を装着し、そこにワイヤーを通して歯を動かしていきます。ブラケットを装着する位置や、ワイヤーの色の違いで費用が異なります。
ワイヤー矯正のほうが治療できる歯並びが多いです。しかし、常に歯に金具を付けている状態なので口の中を傷つけやすく、物がはさまりやすいので食事に気を配ったり、歯磨きに時間がかかるといった問題点もあります。
マウスピース矯正は透明な樹脂でできたマウスピースを歯に装着して治療を行います。
マウスピース矯正は目立ちにくいと近年人気の矯正方法です。取り外しできるのが大きなメリットの一つで、通常通りの食事ができ、ブラッシングも自分の歯を清掃するのみでOK。ただし、水以外を口に含む際は取り外しが必要なこと、装着時間(1日22時間)を徹底する必要があることなど自己管理をしっかりとする必要があります。
どちらも治療期間に大きな差はありませんが、マウスピース矯正のほうが比較的早く終わる傾向があります。また、費用もマウスピース矯正のほうが比較的抑えられるようです。
マウスピース矯正とワイヤー矯正の費用と期間の目安は以下の通り。
矯正方法 | マウスピース矯正 | ワイヤー矯正 |
期間 | 約1~2年 | 約1~3年 |
費用 | 約60~170万円 | 約10~130万円 |
※期間や費用には個人差があります。
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実際に八重歯を治療した症例
費用や期間の目安を見ても幅がありすぎてあまりよくわからないですよね。
ここで、アットスマイル矯正のマウスピース矯正で八重歯を治療をした例をご紹介します。
実際に歯列矯正をしているので期間や費用の参考になるかと思います。
詳細は画像クリックでご覧になれます。
この方は歯並びのガタガタを気にされて来院されました。犬歯が八重歯になっていましたが、4番目の歯を抜歯して矯正治療を行うことで、綺麗に改善しています。
治療内容:透明なマウスピースによる目立ちにくい歯列矯正です。
※千円以下の端数がある場合は、切り上げています。
※費用は治療当時の料金となります。
※自由診療となり保険は適用されません。
※歯並びによってはマウスピースによる治療が出来ない場合があります。
主なリスクと補足事項:
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る(後戻り)場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1~3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。
②歯を削って研磨する
単純に犬歯がとがっているのを改善したい場合は、削ったり研磨をして形の修正を行うことがあります。
犬歯のとがっている部分を削って磨くことで滑らかになり、唇を傷つけることも減るでしょう。
ただし、大きく削ると歯の神経にダメージがいってしまいます。あくまでも犬歯の先だけが気になっている方へ、表層のエナメル質を薄く削るのみの処置方法です。
犬歯の形を変えるだけなので、少しでも歯並びがガタガタしていたり、噛み合わせに違和感がある場合は歯列矯正が必要なこともあります。
③詰め物・ダイレクトボンディング
前後の歯が小さく、犬歯が目立っている場合は小さい歯を大きく見せることで対応することがあります。
具体的には歯科用のプラスチックの材料を歯に盛って歯を大きく見せる方法で、この材料は虫歯の修復にも用いられています。
中でも、セラミック粒子を含んだ歯科用のプラスチックレジンという材料を、直接歯に盛りつけて歯の色や形を整える方法をダイレクトボンディングと呼びます。
必要最小限の範囲のみを削って治療できることや、直接お口の中で盛り上げていくので、早いとその日のうちに治療できることがメリットです。
デメリットは、強度や耐久性が高くないので欠けたり、劣化して変色を起こしやすいこと。平均寿命は4~6年と言われていて定期的にやり直す必要があります。
噛み合わせに問題がある場合は難しいため、適応できる歯並びが限られています。
来院回数は1~2回、期間は最短で1日。費用は、歯1本あたり2~5万円程度の場合が多いです。
④ラミネートべニア
前後の歯が小さく、犬歯が目立っている場合にはラミネートべニアが用いられることもあります。
ラミネートベニアとは、歯をほんの少し削って薄いセラミックの板を貼りつける方法です。
歯の表面を削る量は0.3~0.5mm程とごくわずか。そのため、大きく歯を削る必要があるかぶせ物よりも歯のダメージは少なくてすむでしょう。
さらに、ダイレクトボンディングよりも変色のリスクが少なく、経年劣化しにくいことが大きなメリットです。
ただし、大きな力が掛かると割れたり欠けてしまうことがあるため、適応できる範囲が限られています。さらに、ラミネートべニアは10~20年程度は持つと言われていますが、4~5年でラミネートべニアをくっつけている接着剤が劣化し剥がれてきてしまう可能性も頭に入れておく必要があります。
費用は、歯1本あたり5〜15万円ほどが目安。
通院回数は2~4回、期間は3週間~2カ月程度ですが、こちらも個人差が大きいです。
⑤セラミックなどのかぶせ物
以下の場合には、歯を削ってかぶせ物をすることで犬歯だけが目立つ状態を改善して歯並びを整えることがあります。
- 前後の歯が小さく、犬歯が目立っているケース
- 八重歯で犬歯が目立っているケース
かぶせ物は自費と保険適用の両方があります。
【自費の場合】
金属フリーのセラミックで出来たオールセラミッククラウンや、表面がセラミックで中身が金属のメタルボンドなどがあり、1本約10万円前後です。
【保険適用の場合】
保険適用で出来るかぶせ物には、硬質レジン前装冠とCAD/CAM冠があります。
硬質レジン前装冠は、金属でできたフレームに歯科用のプラスチックであるレジンを貼り付けて、表側が白いかぶせ物です。費用は1本あたり約8,000円前後です。
金属アレルギーがあると使用ができないこと、前歯6本のみが保険適用であること、レジンが変色しやすいことなどデメリットもあります。
CAD/CAM冠は歯の色に近いブロックを機械で削りだしてかぶせ物を作る方法です。出来上がるまでコンピューターで完結するため、自費に比べて費用が抑えられるのが特徴です。金属フリーなのでアレルギーがある方も使用できます。
CAD/CAM冠は2014年から一部保険適用になっていました。2020年9月から条件付きではありますがほとんどすべての歯で保険適用ができます。費用は1本66,000~8,000円前後です。
使用すると削れやすいので歯ぎしりや食いしばりが強い方には向かない、自費のものに比べて透明感がなく劣化も早い、選べる歯の色が少ない、強度がないぶん厚みを出すために歯を大きく削る必要がある、などがデメリットとして挙げられます。
かぶせ物の治療にかかる通院回数は、いずれの場合も個人差はあるものの2~4回程度です。
ただ、かぶせ物をするのは最終手段だと思ってください。かぶせ物は短期間で犬歯の目立ちを改善できることがありますが、歯を削ることでダメージが蓄積し、将来的に歯を抜く必要があるなど歯がダメになるリスクがあるためです。歯をダメにしていいことは一つもないので、安易におすすめはできません。
どのようなことが原因で犬歯が目立っているのか、どんな治療が必要なのかは歯科医師としっかりと相談する必要があります。
私の場合は歯列矯正でどう変わる?どんな治療が必要なの?
特に、犬歯が八重歯によって目立っている場合は歯列矯正で治療をすすめると◎ご自身が歯列矯正でどう変わるか知るのは、歯科医師に相談するのが近道です。
なぜなら歯の動きは、歯根や歯の周りの骨、アゴや骨格などを総合的に見て、歯科学的な観点で考える必要があるからです。
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「自分は歯列矯正でどうなる?」「費用や期間はどれくらい?」などのお悩みも、歯科医が回答してくれます。また、全国さまざまなエリアに提携クリニックがあります。
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インタビュー・体験談
目立った犬歯は放置して大丈夫?
目立つ犬歯の原因が八重歯の場合や、とがった犬歯で唇や舌などを傷つけている場合は放置しないほうがいいでしょう。理由は以下の通りです。
- コンプレックスになってしまうことがある
- 虫歯や歯周病のリスクが高くなりやすい
- 噛み合わせに問題が生じている可能性がある
- 口の中や唇を傷つけてしまうことがある
一つずつ解説します。
コンプレックスになってしまうことがある
人によっては犬歯が目立って強調されているとコンプレックスに感じてしまうことがあります。
特に八重歯の場合は唇の形が歪んだり、笑うと引っかかって上手く笑顔を作れずに人前で笑うのが怖いと感じてしまう可能性も。
歯列矯正や犬歯の修復をすることで、口元が整って自分に自信が持てるようになるでしょう。
虫歯や歯周病のリスクが高くなりやすい
犬歯が歯並びの列から飛び出ている場合、歯ブラシが当てにくいので磨き残しが増えます。
また、人は利き手側を磨く際、ちょうど犬歯のあたりで歯ブラシの向きを変えてブラッシングする傾向があります。そのため、犬歯への歯ブラシの当て方や力加減が難しく、磨き残しが出やすかったり、ブラッシング圧で犬歯が知覚過敏を引き起こすことも。
噛み合わせに問題が生じている可能性がある
犬歯には、物を噛むときの圧力を負担する、かみ合わせにとって非常に重要な役割があります。
八重歯で犬歯が歯並びの外側にあると、犬歯の噛み合わせは不具合が生じています。そのため、食事の際に犬歯にかかるはずの圧力が他の歯にかかってしまい、噛み合わせのバランスが崩れてしまう原因に。将来的に他の歯がダメになってしまうだけではなく、顔の歪みや肩こり、頭痛、顎関節症など全身のさまざまな不調に繋がるリスクも少なくないのです。
口の中や唇を傷つけてしまう恐れがある
八重歯で犬歯が飛び出していたり、歯並びに問題がなくても必要以上に犬歯がとがっていると口を動かす際に口の中の粘膜や唇に当たって傷つけてしまう可能性があります。
下手をすると血が出たり、口内炎の原因になってしまうので治療を行った方がいいでしょう。
よくある質問
八重歯を治すために犬歯を抜いてOK?
八重歯になっている歯の多くは犬歯です。そのため、「八重歯を治すなら犬歯を抜けばいいのでは」と疑問に思われる方もいるでしょう。
結論から言うと、八重歯の犬歯が邪魔だからと安易に抜歯するのは絶対にNG。考えなしに犬歯を抜くと様々なトラブルを引き起こす可能性があるからです。
犬歯は歯の根が長くてしっかりとしているので、縦だけではなく、横からの力にも強いです。物を噛むときにかかる力の多くを犬歯が負担することで、前歯や奥歯、顎関節の負担が少なくてすみます。
犬歯を抜いてしまうと、犬歯の負担が他の歯や顎関節にかかるようになります。犬歯がないことでしだいに他の歯がひび入って割れるなど将来的に歯がダメになってしまったり、顎関節症を引き起こすなどのリスクが高くなりやすいです。
さらに、犬歯を抜くと見た目にも変化がみられることがあります。立体的な犬歯がなくなることで口元のふくらみが減り、ほうれい線や頬コケに見える原因になってしまう可能性も。
ただし、以下の場合は八重歯を抜歯するほうがいいとされています。
- 八重歯に大きな虫歯がある、歯の根が割れているなど歯の寿命が短いケース
- 八重歯を抜くと噛み合わせや歯並びが改善するケース
- 八重歯があることで歯周病のリスクが高いケース
八重歯の抜歯は基本的にしません。ですが、やむを得ず八重歯を抜歯することもあるのでケースバイケースです。
関連記事:
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- 歯列矯正で頬の形はどうなる?ふっくらする?それとも頬コケする?
歯列矯正すると犬歯が動きにくいって本当?
通常は犬歯だからといって必ずしも歯が動きにくいということはありません。
ただし犬歯に限らず、骨性癒着(アンキローシス)といって歯を支える骨と歯がガッチリとくっついて歯が動かないということがまれに起こります。
他にも他の歯が移動を妨げている場合や、上アゴの場合は犬歯の根が骨の壁にぶつかって動かないということも考えられますが、犬歯だからという理由で動かないことはありません。
まとめ
犬歯は歯の名前で、八重歯は歯列不正の一つです。
犬歯が目立つ原因にはいくつかありますが、放置しておくと見た目がコンプレックスになるだけではなく全身のトラブルに繋がることもあります。
特に、「犬歯が目立っている原因が八重歯」というケースは少なくないので治療をおすすめします。
八重歯は歯列矯正で治療することが可能です。ご自身の歯並びにはどんな治療が必要なのか、アットスマイル矯正の無料カウンセリングでぜひご相談してみてください。
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主なリスクと補足事項:
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る(後戻り)場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1~3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。
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