口の奥にものが入ったり、奥歯を歯ブラシで磨くとえづいてしまうような「嘔吐反射」が強い方にとって、歯科治療や歯列矯正は不安が多く、なかなか踏み出せないこともあるでしょう。
しかし、嘔吐反射の正しい対処法やご自身に合った矯正方法を知ることで、嘔吐反射があっても矯正治療を受けることは可能です。
今回の記事では、嘔吐反射が心配な方が歯列矯正をする時に知っておいていただきたいポイントや、おすすめの治療方法、便利アイテムなどを紹介していきます。ぜひ最後までご覧いただき、不安解消の一助となれば幸いです。
まず「嘔吐反射」とは、口の奥に異物が入ると反射的に吐き気をもよおすことを言います。基本的には異物を身体に入れないための正常な防御反応です。しかし、中にはこの反応が強く出てしまう方もいます。
嘔吐反射が起こる原因は主に以下の3つ。
- 口の中への刺激による生理的反射
- 過去の経験からくる恐怖心
- 口呼吸・低位舌
特に歯科治療中は、口の中に器具や水が入るため嘔吐反射がおきやすい状況。いちど嘔吐反射がでた経験や歯科治療に対する不安や緊張があると、さらに嘔吐反射を助長しやすいです。
また、ふだんから口呼吸や低位舌(舌が上あごから離れている状態)の癖があると、嘔吐反射を起こしやすい傾向があります。
矯正治療で吐き気が出やすい場面4選
口腔内診査・クリーニングの時
矯正治療でも初診時や定期通院のとき、お口の中の診察は欠かせません。クリニックによっては定期通院の際にお口全体のクリーニングをしてもらえることもあり、その際に器具が舌にあたって嘔吐反射が出てしまう方もいるでしょう。
また、矯正治療での頻度は少ないですが、歯の部分的なレントゲンを撮る際にはフィルム等を口の中に入れる必要があるため、オエっとしやすいです。
歯型を採るとき
やはり一番心配になるのは歯型採りですよね。歯列矯正では、装置を作るためや歯並びの確認をするために歯型をとります。治療が始まる前はもちろん、治療途中や終了後など複数回行うことも多いです。
歯列矯正の場合は、歯並び全体の歯型をとるために大きなトレーを口の中に入れなければなりません。そのため、口の奥を刺激して嘔吐反射がおこりやすいのです。
また、歯型をとるためのアルジネートという材料は、初めは粘土状なのが数分で固まるという性質。アルジネートは歯科スタッフが水と粉を混ぜて作成するため、柔らかさにはバラつきが出ることも。軟らかすぎると口の中に入れた時に奥に流れてしまい、嘔吐反射を引き起こす可能性があります。
近年では「光学スキャナー」を用いて3Dモデルで歯型を再現するシステムを採用しているクリニックも増えてきています。光学スキャナーは歯をなぞるように機械を当てるだけなので接触が少なく、嘔吐反射のある方でも不快感がないことが大きなメリットです。
初めて装置を口に入れるとき
もっとも違和感があるのは、初めてワイヤー矯正の装置を歯につけたときや、マウスピースを装着したとき。これまでなかったものが口の中に入るので、嘔吐反射が出やすいです。
数日から数週間で慣れてくることがほとんどですが、個人差が大きいです。いつまでたっても吐き気で辛い場合には歯科医師に相談しましょう。
ゴムかけをする時
ゴムかけとは、上下の矯正装置に医療用の小さなゴムを引っかけ、引っ張っられたゴムが戻る力を利用して歯を動かす方法です。マウスピース矯正でもワイヤー矯正でも行うことがあります。
慣れればすぐに引っかけられるようになりますが、初めのうちは時間がかかりやすく、特にゴムをかけるのが奥歯や歯の裏側だと、指を口の中に入れなければならないため嘔吐反射が起きやすいです。
ゴムかけのコツはこちらのコラムで紹介しています。
関連コラム:マウスピース矯正のゴムかけって?期間は?痛い?かけ方のコツも教えます!
嘔吐反射がある人にマウスピース矯正がおすすめの理由
歯列矯正の方法には、ワイヤー矯正(表側・裏側)とマウスピース矯正があります。
嘔吐反射のある人にはマウスピース矯正がおすすめです。その理由は次の5つ。
- 非常に薄いマウスピースを使うから
- スキャナーで歯型採りをするから
- チェアタイム(診療時間)が短いから
- 少しずつ慣らしていくことができるから
- いつも通り歯磨きができるから
ひとつずつ解説します。
非常に薄いマウスピースを使うから
マウスピース矯正のマウスピースは厚さが0.5~0.7mm程度と非常に薄く、ご自身の歯にピッタリ合うようにオーダーメイドで作成されています。
ワイヤー矯正の装置(ブラケット)が1.5~3mmも厚さがあるのに比べると、違和感が非常に少なくて口も閉じやすいため、嘔吐反射が起きにくい傾向があります。
※痛みや違和感の感じ方には個人差があります。
基本的にはスキャナーで歯型採りをするから
マウスピース矯正のマウスピースを作成するための歯型採りは、従来の粘土状のアルジネート材ではなく、光学スキャナーを用いることが一般的。
歯をなぞるように当てていくだけで、不快感もほとんどなく短時間でできるため、嘔吐反射のある方には非常におすすめです。
また従来の歯型採りでは、うまく採れなかったり模型づくりに失敗すると、再度採り直しが必要でした。しかし光学スキャナーでは歯型をデータとして管理しているため、そういった心配もありません。
最近はワイヤー矯正においても光学スキャナーに対応しているクリニックもありますが、まだまだ少数。クリニック選びの際に確認してみるのが良いでしょう。
チェアタイム(診療時間)が短いから
定期通院時、ワイヤー矯正ではワイヤーの調整・交換や、装置の接着など時間がかかります。その間お口を開けていたり、お口に器具や指が出入りすることも多く、嘔吐反射を起こす可能性があります。
一方でマウスピース矯正では、そういった作業がない分チェアタイムが短くなります。調整作業もお口の外で行うことが多いため、嘔吐反射が起きにくいと言えるでしょう。
ただし、アタッチメントやアンカースクリューなどの設置が必要な場合には時間がかかることもあります。事前に確認しておきましょう。
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少しずつ慣らしていくことができるから
もしマウスピースの違和感などが心配な場合には、いきなり長時間装着するのではなく、はじめは短時間から、徐々に装着時間をのばしてマウスピースに慣れていくという方法もあります。そのぶん治療期間は長くなりますが、少しずつ慣らすことで嘔吐反射も起きにくくなるでしょう。
また、ワイヤー矯正は一度接着すると自分では外せないですが、マウスピースはご自身で取り外しができるという点も、精神的な負担を軽くしてくれます。
いつも通り歯磨きができるから
ワイヤー矯正は装置が歯に接着されていて形状も複雑。そのため歯磨きが非常にたいへんで時間もかかり、奥歯の汚れを取ろうとする際などに嘔吐反射が起きやすいです。
比べてマウスピース矯正は、マウスピースを取り外すことができるため、いつも通りの歯磨きができます。また、マウスピースはお口の外で洗うので嘔吐反射も起きません。
私の場合はマウスピース矯正で治せる?矯正でどう変わる?
ご自身にとってどんな矯正方法が適しているか、歯列矯正でどう変わるか知るには、歯科医師に相談するのが近道!
なぜなら歯の動きは、歯根や歯の周りの骨、アゴや骨格などを総合的に見て、歯科学的な観点で考える必要があるからです。
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「自分は歯列矯正でどうなる?」「費用や期間はどれくらい?」などのお悩みも、歯科医が回答してくれます。また、全国さまざまなエリアに提携クリニックがあります。
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インタビュー・体験談
嘔吐反射がある人のマウスピース矯正治療のコツ
事前に伝えておく
歯科治療や歯磨きの際に吐き気をもよおしやすいなど、嘔吐反射の可能性がある方は、必ず前もって歯科医師に伝えておきましょう。
歯科医師やスタッフが認識していることで、過度な緊張を緩和する対策やカウンセリング、施術時にイスの角度を調整したり、器具をお口に入れる際の配慮などをしてもらえます。
「迷惑だと思われるかもしれない」と考える方がいらっしゃるかもしれませんが、患者さんの中で嘔吐反射に不安があるという方は結構多いのです。歯科医師側も嘔吐反射への理解が十分にありますので、きちんと相談に乗ってくれます。
我慢していると余計に緊張する原因になってしまうので、遠慮せずに必ず伝えておいてくださいね。
リムーバーやエラスティックホルダーを使う
マウスピースの出し入れやゴムかけの際に、指が入って嘔吐反射が起きやすいという方は、リムーバーやエラスティックホルダーが超便利!
リムーバーは先端がフック上になっていて、マウスピースに引っかけて簡単に外せます。エラスティックホルダーも同様に棒の先端が小さなフックになっていて、ここにゴムを引っかけてゴムかけを手助けしてくれるものです。不器用な方やネイルをしている方にもおすすめ。
どちらも細くて薄い形態なので、指でやるより圧倒的に嘔吐反射が起きにくいです。
クリニックで販売していることもありますし、ネットなどで市販もされていますのでぜひチェックしてみてください。
マウスピースを調整できる場合も
嘔吐反射は奥歯の内側に異物が入ると起きやすいです。
もしどうしてもマウスピースが気持ち悪くなってしまった場合、症例によってはマウスピースの奥歯の部分を少し削ったりカットすることで対処できる可能性もあります。
ただし、奥歯を動かす必要のないケースなどに限ります。なぜなら、削ることで歯に十分に力がかからなかったり、カットすると歯を動かすことができなくなるからです。
必ず処置は歯科医師が行い、くれぐれもご自身の判断でマウスピースの形状を変えることはしないでください。作り直しになると余計な時間も費用もかかってしまいます。
従来の歯型採りが必要な場合の対処法は?
どうしても模型の作成が必要であったり、歯並びがワイヤー矯正でしか治せないが光学スキャナーには対応していないといった場合には、従来のアルジネート材による歯型採りが必要になることも。
歯型採りで嘔吐反射が出やすいという方は、まずは事前に歯科医師に伝えておくことがキホンです。さらに、以下の方法で対策しましょう!
硬めに練ってもらう
アルジネート材は、水と粉を混ぜる配分によって硬さを調節することができます。硬めに練ってもらうことによって固まるまでの時間を短縮し、負担を軽減できます。
顎を引いて鼻呼吸
歯型を採るときの体勢も意外と重要。
イスは起こした状態にしてもらってアゴを引き、ゆっくりと鼻で深呼吸をします。
そうすることでノドが閉まるため、アルジネート材がノドに流れたり舌に触れるのを防ぎます。深呼吸は心を落ち着かせて緊張を緩和する効果も。
アルジネート材が固まるまでは3分ほどですが、患者さんにとっては長く感じられることもあるでしょう。この時間は他のことに集中するなどして、気を紛らわすのがうまくいくコツです。音楽を聴いたり、スマホを触ったりするのも◎
くれぐれも動いて歯型がズレないようにだけ気をつけてください。
表面麻酔をする
ノドの奥にスプレー状の表面麻酔をすることで、一時的にノドの感覚を鈍らせ、嘔吐反射を起きにくくする方法もあります。
また、強い嘔吐反射がある方には、笑気ガス吸引や静脈内鎮静法などを行うことができるクリニックで対応することも(これらの方法はは全身麻酔とは異なり、意識はあります。歯科治療に対する不安や恐怖心を軽減し、安静状態をもたらすための鎮静法です)。
ただし、設備や技術などが必要になるため、対応しているクリニックはかなり限られます。
嘔吐反射のある人の矯正治療でよくある質問
嘔吐反射があるとワイヤー矯正はできない?
嘔吐反射があってもワイヤー矯正は可能です。
光学スキャナーに対応しているクリニックであれば、歯型採りの際の心配もないでしょう。
しかし、裏側矯正の場合は歯の裏側に装置がつくので舌にあたりやすく、嘔吐反射の程度によってはツラく感じてしまう可能性があります。
いずれにせよ、ご自身の歯並びや嘔吐反射の程度を診てもらい、どの方法が適しているか歯科医師と十分に相談して決めることが大切です。
関連コラム:マウスピース矯正とワイヤー矯正はどちらが効果的?メリット・デメリットを一覧でご紹介
まとめ
嘔吐反射がある方でも歯列矯正は可能です。
特にマウスピース矯正は「矯正装置の違和感が少ない・光学スキャナーで歯型を採る・口の中での作業が少ない・歯磨きがしやすい」などの観点から、嘔吐反射の不安がある方にもおすすめ!
もし嘔吐反射が起きやすいのであれば、必ず事前に歯科医師に相談するようにしましょう。予め伝えておくことで、診療の際に嘔吐反射が起きないように配慮してくれます。
また、治療方法はもちろん、費用や期間、進め方なども聞いておくとより不安が解消できるでしょう。
アットスマイル矯正は、初回無料で歯科医師と相談できます。嘔吐反射などの心配事があって矯正治療に踏み出せないと悩んでいる方には、ぜひこのチャンスをご活用いただき、納得のいく治療を受けていただきたいと思います。
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関連コラム:歯列矯正は安くなる?矯正費用の負担を減らす方法5選!貯金無しでも始めたい人は必見!
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治療内容:透明なマウスピースによる目立ちにくい歯列矯正です。
※千円以下の端数がある場合は、切り上げています。
※費用は治療当時の料金となります。
※自由診療となり保険は適用されません。
※歯並びによってはマウスピースによる治療が出来ない場合があります。
主なリスクと補足事項:
・歯の動きやすさには個人差があります。
・正しい装着方法で決められた時間以上装着しない場合は治療期間が長くなる可能性があります。
・咬合、歯肉退縮、歯根吸収等が発生する可能性があります。
・矯正箇所が元に戻る(後戻り)場合がありますので、治療完了後は後戻りを防ぐため、保定装置の装着が必要になります。
・装置装着後と通院における装置調整後は1~3日ほど痛みを伴うことがあります。
・歯の移動が大きい症例などには不向きです。
アットスマイル矯正を受けた人の声
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